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ヒーローヴィジョン Vol.10 (2003/Spring) (10) (ソノラマMOOK)
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Wish to be happy・・・
「もし、人間には皆、使命があるとしたら、俺の使命はしあわせになること」
映画「あずみ」では、人を殺すことを使命に戦う少年、うきはを演じた成宮寛貴。
ただ純粋に「幸せになりたい」と願うのは、どんな想いからなのか・・・・。
その真意に迫ってみた。

「スピード感があって、時代劇とは思えないほどカッコイイ仕上がりになっていた」と自身も大絶賛の映画『あずみ』。
精鋭の戦士を演じるにあたり、撮影の2ヶ月前から基礎体力作りや殺陣の稽古が行なわれてた。

「刀を持って飛び込み前転するとか、危険な練習もいっぱいあったんですよ。僕は大丈夫だったんですけど、靱帯を痛めちゃった人もいたりして。しかも、稽古は、7月の炎天下の中。体力的なことは、水泳をやっていたんで大丈夫と思ってたんですけど、着物で10人斬りするとさすがに疲れましたね」

ハードな特訓で鍛えられた殺陣の見せ場は、随所にある。
彼が演じるうきはに与えられた最初の試練は、同じ境遇で育ってきた仲間を斬ること。

「うきはは、使命に対して忠実なので、心を鬼にして斬るシーンを演じました。でも、いくら使命のためとはいえ、初めて人を斬ったときの感覚は、ドキッとしたはずです。なんか、戦国時代の生活って大変だし、かわいそうだなってしみじみ思いましたよ。本当、その時代に生まれてこなくて良かったと思う。でも、じつは前世で生きてたりしてね」

戦国時代に生きるうきはの気持ちを理解するのは、困難だったという。

「大切な仲間を自らの手で殺めるときの精神状態を想像するのは、かなり難しかったですね。うきはは、真実をわかっていても、一生懸命に自分の使命が正しいって信じようとしてたんじゃないかな。だけど、本当に大切な人間を失いそうになったとき、立ち上がるんですよ。僕は、そのシーンのために今まで頑張ってきたんだっていう見せ場のシーンです」

戦うことが使命だったうきはのように自分に使命があるとしたら、何だと思うかと訊ねると、一瞬、考えて
「幸せになること」とポツリ。
「役者であること」ではないのだろうか。

「もともと、役者になりたくてなったわけじゃないんです。一人でいたくなかったし、幸せになりたいと思ってこの仕事を始めたので」

母子家庭で育ち、中3の時、病気で母親が他界。
弟と2人残されてしまう。
そんな頃、友達と遊んでいてもいつもあるのは、一人ぼっちだという孤独感と何をしたらいいのかわからない空虚感。

「ずっとフワフワしていたので、自分の居場所というか、腰を落ち着ける場所が欲しかったんです。俺は、通学の電車の中で見かける、くたびれたおじさんのようにはなりたくない、自分の未来は明るいんだって希望があって。楽しんでできて、なおかつ、自分にしかできない仕事を絶対、みつけてやるって思ってた」

それが何なのか、悩む日々から抜け出すきっかけになったのは、’00年に行なわれた宮本亜門さんの舞台オーディション。
合格して、舞台に立った彼は、エネルギーを注ぐ場所をみつけたと直感した。
それから、ドラマ、映画と順風満帆に突き進んでいることについては、言うまでもないだろう。

「一人になりたくなくて、始めた仕事なのに、この仕事をやっていくと一人で考えなきゃいけない時間って多いんですよね。自分をみつめる時間だったり、役のことを考える作業だったり。俺は、器用じゃないんで、人がいると役づくりとかできなくて。よく、器用そうに見られるんだけど、それは大誤解。かなり不器用なんですよ」

考え方は成長してきてるけど、根本的なものは、16歳くらいからそんなに変わらないという彼。
昔からつきあっている友達からも「変わった」と言われることは、ないそうだ。

「役者って自分のことを考える仕事だから、すごくエゴイストになる部分が増えてくると思うんですよね。だから、その他のところでは、周りの気持ちを考えて行動しないと、じゃないと、大切な人たちがいなくなっちゃう」

そんな彼が一番大切にしている人は、
「弟かな。『愛してる』って言葉は普段、ギャグでたくさん使うんです。でも、本当の意味で使えるとしたら、弟にだけ。家族には、小さい頃から普通に言ってきたんです。『愛してるよ』って。最近は、なかなか弟に会えないから、電話で言ってますけど。半分ギャグも含めながらですよ(笑)」

気になるのは、恋愛の『愛している』。
そっちのほうは、どうなんだろう?

「忙しかったりすると、どっかしら恋愛がリアルじゃない気がして。仕事を優先させながら、できる限り、お互いの感情を満たせたらいいとは思うけど、好きになったらわからない(笑)。理想のタイプですか?俺ね、顔で好きな系統とかって本当になくて・・・・。うーん。なんだろう。あえて言うなら、チャーミングな人。恥ずかしそうな顔がカワイイとか、しっかりしてる人がドジをしたときの表情がいいとか。恋愛の話ってすっごい恥ずかしい(笑)」

恋愛話に照れる彼こそ、本当にチャーミング。
今は恋愛よりも仕事といった感じだけど、プライベートでも良い仲間に恵まれ、充実してるよう。

「友達はね、刺激になるタイプばかり。同年代もいれば、年上もいます。友達に相談ですか?しないですね。逆に相談されるほうなんで。ストレス解消方は、友達とカラオケや買い物に行くことかな。あと、美しいものが好きだから、絵を見に行ったり、街を歩いてディスプレイを眺めたりします。好きでやりたいことって、なんかいっぱい眠ってるんですよ。写真を撮ったり、絵を描いたりしてるんですけど、もうちょっとでやりたかったことをカタチにできる気がする。人との出会いがきっかけでうまく歯車が回ることもあるしね。『こういう人と出会いたいな』って思ってると、絶対にそういう人が現れるから。願ってると叶うっていうのは、本当なんですよ」

そう生き生きと話す彼には、どんな夢でも実現できるパワーが感じられる。
また、弱音をはきたくなるときも、ポジティブに自己暗示をかけるとか。

「ひとりで家に帰って『仕事ばっかりで、俺の20歳はこれでいいのかなぁ』ってたまーに思っちゃうときもあるんですよ。そういうときは、『自分にしかできない、選ばれた仕事をやっているんだ。1分とかそんなレベルで人のことを感動させられるすばらしい仕事をしているんだぞ、成宮!』とかって自分に言い聞かせて、寝ちゃう(笑)」

そんなふうにイメージすることを得意とする彼は、演技においてもそう。
個性的でアーティストっぽいやり方だ。

「お芝居しているときは、頭の中に必ずオーケストラだったり、音が流れているんです。悲しいシーンを演じるときなら、オーケストラが流れる中、色や雰囲気、映画の悲しいシーンとかいろんな映像をバーッと思い浮かべる。あと、ちょっとだけ悲しかったことを思い出したり。俺の場合、本当に悲しかったことって、覚えてないんですよ。どこかフタしてるような感じ。でも、どんな嫌なことでも、この仕事はそれを活かせるっていうか、プラスに変えられる、そう思ってますけどね」

独特の感性を持ち、まぶしいほど強い輝きを放っている成宮寛貴。
これからますます目が離せない存在となるのは、間違いない。



発売:2003/4、 REPO2007/12/15
※記事内の文章や画像等の転載一切を禁じます。



    

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