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はだしのゲン(後編)

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前編(約2時間)・後編(約2時間10分)とあり、ナリの出演は後編の後半40分ほどでした。前編等のあらすじは割愛させていただきます。

広島の原爆による火事で父・姉・弟を亡くした元(ゲン)は、母と原爆投下後に産まれた妹:友子と弟:進次にそっくりの孤児:隆太と一緒に頑張って生きていたが、食べ物が満足に取れない状況でお乳も出ず、栄養不足で日に日に弱っていく友子を見て、病院費や食べ物を買うためにゲンは隆太と一緒に仕事を探すことに・・・。

そんな二人の前に仕事をくれると言う男性が現れて、その男性の家に向かう。離れに案内されて入ると、そこには異臭を放って包帯を体中グルグル巻きにされた男が居た。その男性:吉田政ニ(ナリ)は絵描きでたまたま勤労奉仕のために広島へ行ったときに原爆に遭い、傷だらけで帰ってきたのです。

仕事をくれたのはその政ニの兄:英造で政ニの面倒を1週間看たら、100円くれるという仕事でした。

英造(政ニの兄)「政ニ、今日からお前らの世話を、この子等がしてくれる。弟の包帯取り替えて、傷の手当してやれ」

ゲン「わかったよ」

政ニ「兄さん、傍におってくれ、ワシを一人にせんでくれ」

英造「ワシは、仕事がある。小僧、頼んだぜ」

政ニ「兄さん、逃げんでくれぇ」

ゲン「1週間働いたら100円もらえるんじゃ。仕事をするど、隆太」

隆太「あいよ、あんちゃん」

ゲン「なんで締め切っとるんじゃ、窓を開け〜」

隆太「あいよ」

ゲン「包帯を取って薬を塗るけぇのぉ」
と言って、政ニの包帯を取ろうとしたゲンだが、

政ニ「触るなっ」と言われ、蹴飛ばされてしまう。

隆太「あんちゃんに何するんじゃーーっ」

政ニ「やかましい、人の死体?にたかるハゲタカがっ」(死体は肢体かも知れません)

隆太「誰がハゲタカじゃあ」

政ニ「お前らはワシとおって100円儲かるんじゃろ、このハゲタカどもがっ」

隆太「なんじゃとコラーーっ」

ゲン「ええんじゃ、隆太」と言って、政ニの足の包帯を外し始めるゲン。

政ニ「うっ、痛いどぉ、ハゲタカ」

ゲン「ガマンしてくれ」

政ニ「もっと、優しゅうヤレッ、ハゲタカっ」と、またゲンを蹴飛ばす。

ゲン「くそぉ、ええ気になってっ」

政ニ「なんか言うたか?ハゲタカ」

ゲン「わしゃあハゲタカじゃないわぁ、中岡元じゃ」

隆太「わしゃあ隆太って名前じゃあっ」

政ニ「水を持って来い、ハゲタカ」

ゲン「ハゲタカじゃない言うたんがわからんのか?」

政ニ「はよ〜持って来いっっっ!!」

結局、敷地内の井戸へ水を汲みに行く二人。
そこへ政ニの兄の嫁:花子が近づき・・・

花子「あの男(政ニ)を殺したら200円やる」

ゲン「殺す?」

花子「えぇ〜殺してちょうだい」

ゲン「なんでそんなこと言うんじゃ?」

花子「ピカドン(原爆)が、ピカドンがこの(うち)を潰す」

ゲン「やっぱり政ニさんの身体はピカドンで?」

花子「主人の弟なんよ。絵描きを目指しとったんじゃけど、あの日、勤労奉仕で広島に出掛けて、帰って来た時には体中に火傷を負って、血いっぱい吐いて」

ゲン「じゃけん言うて、家族をそぎゃんに毛嫌いすることないじゃろ」

花子「うち等が近所になんと言われとるか解かる?吉田んとこには、ピカの化け物がおる言うて、うちで作った酒、問屋が買ってくれんようになった。このままじゃ、うちは潰れてしまう。(泣)」

そして、井戸で汲んだ水をコップに注ぎ、政ニに渡そうとすると、政ニは払いのけてしまう。

ゲン「なにするんじゃ?」

政ニ「おい、ハゲタカ、水じゃ」
悔しそうな顔をしながらもゲンはコップを拾い、また水を注ぎ政ニに渡す。

一度持ったコップだったが、政ニはそのコップの水をゲンにわざとかけて落とす。

政ニ「ハゲタカ、拾え」
また悔しそうな顔をしながら、ゲンはコップに水を注ぎ・・
ゲン「しっかり持っとけよ」と言いながら政ニの手をとり、握らせる。
でも政ニはまた、その水をゲンにわざとかける。

ゲン「もぉ、ガマン出来んわあ、おどりゃぁええ歳しやがってっ、甘ったれんなっ、バカタレっ、クソったれっ、勝手にせぇ、もうお前の面倒なんか看切れんわぁっ」と言って政ニの顔を何度も叩くゲン。

隆太「あんちゃん、100円は?1週間ガマンすれば100円もらえるんじゃ」

ゲン「要らんわ、そぎゃあなもん!帰るぞ、隆太」

政ニ「待てよゲン。中岡元、隆太」

ゲン「おどりゃぁ初めてワシの名前言うたのぉ」

政ニの目からは大粒の涙が溢れている。
隆太「泣いとるよ」

ゲン「殴ったんが、痛かったんか?」

泣きながら・・
政ニ「嬉しいんじゃ。お前らだけじゃ、真剣に怒ってワシに向こうて来てくれたんわ。血を分けた兄貴まで、気味悪ごうて近寄らん。皮膚が一枚剥けただけで、家族の心が変わってしもうた。わしゃもう、人間じゃないのか?そう思うたら、寂しゅうて、悔しゅうて」

ゲン「ほうじゃったんか」

政ニ「済まんかったのぉ」
そして1日目は終わった。

2日目・・・
離れの政ニがいる部屋へ行くと、政ニが自分の描いた絵をズタズタ・ボロボロにしている。

隆太「政ニさん、やめーっ」

政ニ「自分で描いた絵など見とぉない、もぉ絵ー描けん!こんな手じゃ、描けんのじゃ、ワシの夢を奪うたピカが憎い。ワシはお終いじゃ。死ぬのを待つだけじゃ。こぎゃんに惨めに生きていとうない。一思いに殺してくれーーーーっ。ゲン、こいつ(刃物)でワシを突き刺してくれ〜」

ゲン「馬鹿たれっ!お前は生きとるんじゃ、死んではおらん、生きとる。わしゃあお前を絶対死なさんど。このまま黙って死んでもええんか?わしゃあ殺されても死なんど。意地でも生きたるわっ」

政ニ「ゲン」

ゲン「ワシらが付いていてやるけ、元気出せ。笑って元気出せ、笑え。笑わんのならワシが笑わせたる。行くど、隆太」

隆太「あいよ、あんちゃん」
そう言って、二人は政ニをこちょこちょして笑わそうとする。

隆太「こ〜ちょこちょこちょこちょ〜」

ゲン「そうじゃ、笑え」

政ニ「えっへへへ〜、ひっひっ、くすぐったい、やめ〜ゲン」

ゲン「元気を出すまでやめんよ」

隆太「こちょこちょこちょこちょこちょ〜」

政ニ「へっへっ、よしてくれ隆太、はっはっはっ」

隆太「元気出す約束するんか?」

政ニ「へっへっ、あぁ、元気を出すけん、やめてくれ」

ゲン「どうじゃ、笑うとスッキリするじゃろ」

政ニ「ほんまじゃ、ほんまじゃのぉ」お互い笑顔で見つめ合う。

そんな2日目を終え、家路につこうとする二人を追いかけて政ニの兄:英造がやってきた。

英造「待ちんさい、待ちんしゃい。政ニが変なんじゃ。部屋ん中で恐ろしい声あげて」
急いで政ニのもとへ行くと・・・
そこには絵筆を口にくわえて絵を描いている政ニの姿が・・・。

政ニ「生きとるうちに描かんと。広島で何が起きたんか描き残さんと。ピカを受けた人達の苦しみを」

ゲン「絵、描く気になったんじゃの」

隆太「そうか、頑張れ政ニさん」

政ニ「お前らのお陰で生きる希望が見えたんよ」

ゲン「良かったのぉ、良かった良かった」
その姿を陰から伺ってる兄:英造が居た。

政ニ「もう、ワシの世話はよい」

ゲン「なんでじゃ?」

政ニ「ワシはもう一人でも生きていける。ありがとのぉ。そこに100円ある。ワシからの礼じゃ」

隆太「ええんか?貰うても」

政ニ「遠慮すんな」

隆太「では喜んで〜」とお金を貰おうとする隆太にゲンは・・・

ゲン「1週間働く約束じゃ」

隆太「細かいこたぁ、気にすんな」

ゲン「ならぁ、ならワシからも礼じゃ。モデルになったる」

政ニ「モデルに?」

ゲン「あぁ!ワシらを描け」

隆太「モデルかぁ。それ位ならお安いご用じゃ」

政ニ「よしっ。裸になれ」

ゲン・隆太「ぅえ〜っ」

政ニ「人は、裸の姿が一番純粋で美しい。ピカドンに遭うても生き抜いたお前らが、この世で一番純粋なんじゃと描き残す」

隆太「でも、裸はちぃとぉ」

ゲン「政ニさんがそう言っとるんじゃ、早う脱げ」

隆太「イヤじゃ」

ゲン「ガキのくせに色気出すな」

隆太「やだ、恥ずかしい・・・あんちゃんも脱げ」

ゲン「わかっとるわ、脱げばええんじゃろ、脱げば」
そしてついに裸になった二人登場。

ゲン「ポーズとれ、隆太」

隆太「あいよ、あんちゃん」

ゲン「これでどうじゃ?」

政ニ「ん〜〜」

ゲン「これならどうじゃ」

政ニ「よし」と言って早速、二人を描き始めた政ニ。

そして、ついに口にくわえた絵筆だけで絵を描き上げた政ニ。
ゲンと隆太が裸で麦畑をバックに元気に飛び跳ねている絵が完成した。

その絵を満足気に見つめる政ニがひと言「ゲン」と。
そして、そんな嬉しそうにしている政ニを後ろからまた嬉しそうに見つめてる兄:英造が居た。



このドラマにはナリが出演していないシーンでもメッセージや感動の場面がたくさん盛り込まれている、色々な意味が込められているドラマです。割愛させていただきました事、ご了承くださいませ。

はだしのゲン公式HP

放送日(後編):2007/8/11、 REPO:8/19
※記事内の、文章等の転載を禁じます。


   


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